☕ 久々のアイスコーヒーで“絶好調”…だったはずが
昨日のお昼、久しぶりにアイスコーヒーを飲みました。
暑かったので、つい「1杯くらいならいいか」と軽い気持ちで手に取ったのですが…
その数時間後、私は過去の嫌な思い出を否応なく思い出すことに。
実はその日の午前中は、なんとなく気力が出ず、ぼんやりしていた私。
でも、コーヒーを飲んだ午後から急に元気が出て、驚くほどテキパキ動けて、自分でも「やればできるじゃん!」なんて思ってました。
…ところが、その夜からおかしくなったんです。
😣 襲ってきた、あの“落ち着かなさ”
何もしてないのに焦ってる感じ
ソワソワしてじっとしていられない
突然まぶたがピクピク(眼瞼痙攣)
ちょっと手が震える
いつもの時間になっても眠れない
「何か不安?」「私、病んでる?」とパニック気味に…
過去のことをすっかり忘れていた私は「メンタルの不調が再発した?!」とビビッてしまいました。
夜の落ち着かなさとメンタルの不調
リラックスタイムに入ったはずなのに、なんだか落ち着かない。
瞼がピクピク痙攣する、胸がバクバクする、意味のない焦燥感が押し寄せてくる——。
じっとしていられないのに、何が気になっているのか自分でもよくわからない。
そして、いつもの就寝時間になっても、全く眠気がやってこないのです。
「もしかして、メンタルが不安定になってる?」
「私、また不調に戻っちゃったのかな?」
そんな不安が押し寄せる中、ふと気づきました。
「……あ、今日、久々にカフェイン摂ったんだった!」
思い出された“過去の私”
コーヒーをよく飲んでいた頃の自分を思い返すと、いろいろな共通点が浮かんできます。
- 朝起きたらまずはコーヒーに手が伸びる・・・
- 1日に2、3杯は飲んでいた
- コーヒーを飲むと集中力が上がった
- 眼瞼痙攣はしょっちゅうあった(歯医者さんで長時間になるといつもピクピク💦)
- 寝つきが悪くて悩んでいた(10年近く睡眠導入剤を飲まないと眠れない状態だった)
- コーヒーを飲まないと落ち着かない感覚があった
これらが“コーヒーを飲まないと落ち着かない日々”とリンクしていたのだと、5年前に気付いていたはずなのに、調子がよくなった今となってはすっかり忘れてしまっていたのです。
分子栄養学との出会いで カフェインフリー生活を
5年ほど前、自身の体調の悪さから分子栄養学にたどり着き、そこで得た知識をもとに、思い切ってカフェインを断ち、カフェインフリーの生活に切り替えてみました。
最初の1週間ほどは、不安感や頭が重い感じ、集中できない感覚があり、「やっぱりコーヒーは必要なのかも」と不安になることも。
でも、2週間を過ぎた頃から徐々にメンタルが落ち着き、夜もスムーズに眠れるように。
日中も「自然な元気」を感じられる時間が増えていきました。
続けるうちに明らかにメンタルの安定感が出てきたんです。
そして久しぶりに摂ったカフェインに、今回は過敏に反応してしまったのだと実感しました。
動悸、焦燥感、不眠…。まるで“メンタルがまた不安定になった”ような錯覚をしてしまうくらいに。
分子栄養学的にみるカフェインの作用
◉ なぜ元気になるのか?
カフェインは、脳内の「アデノシン」という物質の受容体に偽装して結合します。
アデノシンは本来、「そろそろ休もうよ」というサイン。
アデノシンは日々の活動のなかで自然と脳内にたまり、アデノシン受容体に結合することで「疲れた」「眠い」という感覚を引き起こします。
カフェインはこのアデノシン受容体に“ニセモノ”として結合し、ブロックしてしまいます。
その結果、本来であれば「疲れた」と感じるはずの信号が遮断され、疲れていても“元気なフリ”ができてしまうのです。
それがブロックされることで、脳は“まだ元気”と錯覚してしまいます。
さらにカフェインは、副腎を刺激してアドレナリンやノルアドレナリンなどの“ストレスホルモン”を分泌させます。
このホルモンたちは「闘争・逃走反応(fight or flight)」と言われ、心拍数を上げ、血圧を上昇させ、消化機能を一時的に止めるなどの交感神経のスイッチをONにする作用を持っています。
アドレナリンやノルアドレナリンを一時的に増やすことで、「やる気」や「集中力」を引き出してくれているんです。
でもそれは、体にムチを打っている状態なんですね。
これはあくまで“ドーピング”のようなものであり、実際の体内ではエネルギーを激しく消費している状態です。
一時的に集中力が上がったり、気分が高揚したりしますが、その分だけ体内ではエネルギーを猛烈に消費してしまいます。
つまり、「本当は疲れているのに無理やり元気にさせている」のです。
仕事の時はそのエネルギーを使って動いているので、「私、できる人!」なんていい気になったりして、気づきにくいのが落とし穴なんですよねー💦
✅ 参考エビデンス
- Fredholm BB et al., “Actions of caffeine in the brain with special reference to factors that contribute to its widespread use.” Pharmacol Rev. 1999.
カフェインはアデノシン受容体をブロックし、覚醒を維持- Nehlig A et al., “Caffeine and the central nervous system: mechanisms of action, biochemical, metabolic and psychostimulant effects.” Brain Res Brain Res Rev. 1992.
カフェインは交感神経系を活性化し、心拍数や血圧を上昇させる

🧠 カフェインによって交感神経が優位になるしくみ(まとめ)
1.カフェインがアデノシン受容体をブロックする
→ 本来「休め」という信号が遮られる
→ 覚醒状態が続く
2.副腎がアドレナリンを分泌
→ 心拍数や血圧が上昇、エネルギー放出モードに
→ 血糖値を上げ、筋肉を動かしやすくなる
3.交感神経が優位なまま日中を過ごす
→ “シャキッとした”ように感じるが、実際は緊張状態
このようにして、カフェインは交感神経=緊張モードに体を導きます。
これは短期的には良い方向に働く場合もありますが、毎日続くと副腎が疲弊し、副腎疲労のリスクも上がります。
🌙 副交感神経に切り替わらない理由
◉ なぜリラックスできなくなるのか?
通常、夜には副交感神経が優位になり、体も心も「おやすみモード」に切り替わります。
でも、カフェインが残っていると交感神経が優位なまま。
- 心拍数が高い
- 頭が冴えたまま
- 呼吸が浅く、リラックスできない
これでは、いくら寝ようとしても体が「まだ戦闘中」と判断してしまうのです。
交感神経から副交感神経への切り替えがうまくいきません。
理由は大きく2つあります:
① カフェインの半減期が長く、体内に残りやすい
解毒酵素(特にCYP1A2)という遺伝子のタイプによって、カフェインをすぐに代謝できる人と、何時間も残ってしまう人がいます。
私はどうやらカフェインの代謝が遅いタイプのようで、昼に摂ったカフェインが夜遅くまで影響を残してしまったのかもしれません。
カフェインの半減期(血中濃度が半分になるまでの時間)は 3〜7時間とされています。
遺伝的に解毒酵素CYP1A2の働きが弱い人では、10時間以上残ることもあります。
つまり、午後に飲んだコーヒーが、深夜まで体に影響を与える可能性があるのです。
✅ 参考
- Institute of Medicine (US) Committee on Military Nutrition Research. Caffeine for the Sustainment of Mental Task Performance: Formulations for Military Operations (2001).
- Yang A et al., “CYP1A2 genetic polymorphisms and their influence on the effects of caffeine.” Clin Pharmacol Ther. 2010.
CYP1A2の役割
カフェインは体内で主に肝臓のCYP1A2酵素によって代謝されます。
遺伝的多型と代謝速度
CYP1A2遺伝子には複数の多型(SNP)が存在し、特にrs762551はCYP1A2酵素の誘導性や活性に影響を与えます。
AA型(快適代謝型):カフェインの代謝が速い。
AC/CC型(遅延代謝型):カフェインの代謝が遅い。
カフェイン効果の個人差
代謝が速い人(AA型):カフェインの作用時間が短く、血中濃度が早く下がるため、効果が現れにくい場合もある。
代謝が遅い人(AC/CC型):カフェインが体内に長く留まるため、作用が強く、副作用(不眠、動悸など)が出やすい傾向がある。
健康リスクと関連性
心血管疾患や腎機能障害:カフェインの代謝が遅い人は、高用量摂取時に心血管疾患や腎障害リスクが高まる可能性が示唆されています。
CYP1A2遺伝子の多型は、カフェインの代謝速度や効果に大きな影響を与えます。そのため、カフェインの効果や副作用リスクには個人差があり、遺伝子型に応じた適切な摂取が推奨されています。
② カフェインが副交感神経を抑制し、リラックスを妨げる
副交感神経のスイッチを入れるには、脳や体が“安全”と判断する必要があります。
しかしカフェインが残っていると、心拍数が高いまま、体が“まだ戦闘中”と錯覚するため、リラックスできません。
その結果、夜になっても身体が“興奮モード”のままとなり、不眠・動悸・焦燥感・神経過敏などの症状が出やすくなるのです。
「メンタルの問題かな?」と勘違いしてしまうのはこのためです。
メンタル症状の正体は、カフェインによる神経の緊張かも?
私は以前、「私はこういう性格なんだ」と思っていました。
- すぐ不安になる
- 焦りやすい
- 落ち着きがない
- 集中していないと不安になる
でも今は、こう思うようになりました。
それ、カフェインで交感神経を無理に刺激した結果かもしれない。
のんびり屋の自分が、カフェインで「シャキシャキキャリアウーマン風」に変身していただけ。
それって、自分らしさを犠牲にした働き方だったのかもしれません。
カフェインと“本当の自分”の距離
私が分子栄養学を学んでわかったのは、カフェインは『一時的に元気にしてくれる“ドーピング”』のようなもの。
ただし、一時的に元気にしてくれますが、その代償として私たちの体は無理をして、興奮しすぎて、休めなくなるのです。
これは「私の性格」ではなく、「カフェインの作用」です。
「仕事ができる私」も「焦燥感で寝つけない私」も、実は栄養と神経のバランスによって作られている状態なのです。
「カフェイン=悪」と言いたいわけではありません。
でも、カフェインが合わない人も確実にいるし、それが原因でメンタル不調を抱えている人も多いのではと感じます。
もしあなたが、
- 夜になると不安が出てくる。夜眠れない
- なんとなく落ち着かない。動悸や焦燥感がある
- やる気が出ないから、コーヒーで無理やり動く
- メンタルが安定しない
そんな症状がある方は、もしかしたらカフェインが“疲労感や不安感を隠す”マスクになっているのかもしれません。
今はそういった症状が無くて「自分は元気!」と思っていても、実はカフェインで疲労感をマスクしているだけで、歳とともにその疲労感は蓄積して症状として現れてくるかもしれません。
自身の状態をチェックしてみて、カフェインを抜いてみる、量を減らしてみるのも、ひとつの選択肢かもしれませんょ。
🌿 分子栄養学カウンセラーからのメッセージ
心の不調と思っていたことが、実は栄養や刺激物によるものだった——
そんなケースはとても多いのです。
あなたの心は「弱い」のではなく、「疲れている」のかもしれません。
無理なドーピングをやめて、自分のペースに戻ること。
それが、ほんとうの元気と出会う第一歩になるはずです。